ガチャッ…


小さな音をたてて、階段の先にあった扉は開いた


キィィィ…と少しさびた音がなぜか、久しぶりに来たここが寂しがっているように聞こえてきた



「うわっ、なんか久しぶりなのに久しぶりじゃない気がしかしない」



少し後ろにいる蓮妬が言う




…確かに



錆びた音が酷く悲しげには聞こえたが…


案外中をのぞいてみると、春休み前の様子と何ら変わりなく、そこにはいつも通りの表情をした屋上がいた



「んー!」


大きく伸びをしながら、フェンス付近まで近づく



フェンスからは、たくさんの桜の木が見えた



だが、まだ十分に咲ききっていないそれは、たくさんの隙間があり、何か物足りない雰囲気を感じた