ズキズキと痛む右足を無視し、無理やり足を動かす


「っ、」


走れないことはない

動け、動け、動け




そう唱えるように走る

そして、角を曲がった



だけど、そこには、誰の姿も見当たらなかった


逃がしたのだ

「くそ!」


拳を壁にぶつける

ジワジワと手に痛みが走る

そんなことをしていても意味が無いことはわかっていた

足もズキズキと痛みを主張していた


今から一人で追いかけるのは厳しい





今は朱莉を優先しよう



あたしは部屋へと踵を返した