「ノックする意味ないじゃん」

ジトっと軽く睨みつけてみれば、瞳をそらす耀太
そして

「べ、別にいいだろ!は、入るからな」

照れ隠しにか、強めにそう言って勢い良く部屋へ入ってきた

「うーわ、変態

女の子しかいない部屋に無理やり入ってくるの?」

少しいじってやろうかとニヤニヤと敢えて意地悪く笑ってみる
すると、耀太もニヤニヤと笑って口を開いた

「は?どこに女がいんだよ?」

こんな失礼な回答を予想通りにいただいた


「朱莉」

少しの間もなく、即答で膝の上で眠る彼女の名を呼ぶ
頬にある泣いたあとを指先で軽くこすりながら、耀太を見ると、さっきよりもさらにニヤニヤと、あたしよりも意地の悪そうな表情をしていた

「てことは蓮香は女じゃ………」

その顔に少しの怒りが芽生えたあたしは、最後まで聞くこともなく、耀太を遮って


「あれ?この部屋に女はいないって言ってなかったっけ?」
そう言ってやった

「な、」

言葉に詰まるようすの耀太はうまい返しが見つからないのだろう
さっきまでの意地の悪そうな表情からはうってかわり、ムッとしたような、拗ねたような顔をして、今度は勢い良く顔を反らしたのだった

やった、勝った