その時、ヒュッと冷たい風が首をかすめた
男装していると髪の毛が首よりも上にあるから、少し寒く感じる
風の吹いてきた方向を見ると、窓ガラスが割れていたところから入ってきたようだった
その時
「蓮香せんぱ、い」
その声は小さくて、か細くて、風の音にかき消されそうなほどだったが
この部屋には大きく響く声が聞こえた
その声は間違えない、間違えなく
「朱莉?あ、あか、りだよ、ね?」
彼女のモノ
安堵で喉が少し熱くなり、涙が溢れそうになる
男装していることなんて忘れて、もう一度朱莉と呼びかけた
「お願い、します
蓮香先輩、ウィッグ取ってください」