「誰だよ!」

思わず叫んだあたしの目の前に、誰かが歩いてきた


爽…

心の中でその名を呟く

彼はその高い身長からゆっくりと腰をおろし、あたしに目線を合わせてくれる


そしていつの間にか固く結んでいた手に、彼の手が重なった

そして、その手はゆっりとあたしの指を解いていった



そのおかげか少しだけ冷静さを取り戻せた


「誰だ?」


ここにはいない誰かを睨みつけ、強ばる口で、言葉を紡ぎ出す


今は怒っていても何にもならない

あたしができるのは、ただその“誰か”から情報を聞き出して、いち早く朱莉を見つけ出すことだ