あ、やべ!忘れてた。

一番に気づくべき、女の存在をすっかり忘れていた。

「あ…」

振り向けば、俺の顔をジッと見ていた。

「別に良かったのに」

「良くねぇよ。俺は、あんなの嫌い」

余計なお節介だと言わんばかりに眉間に皺が寄っている。

「ご、ごめん」

「…あー…、わかった気がする」

逸らすことなく俺の顔をジッと見ていた視線が空に仰いだ。

「へ?」

何が?と自分でもわかる今、きっと間抜けな顔をしている。