「知らねぇのも仕方がねぇよ。争っていたのは俺達だからな」

煙草に火を点けながら答えたのは篠原だ。

「松橋は隣高のマドンナだからね」

「意味わかんねぇ。
賭けの材料にされてんだろ」

この話はしたくないとばかりに嫌な顔をする。
当たり前のように居座る伊崎が松橋の頭を正面から掴んだ。

「てめぇは何処まで尻尾振りゃ気がすむんだァ?」

「はぁ!?この会話から何でそうなんだよ!」

掴まれている腕を引き離そうと力をいれる。