あいつ―神藤 悟(24)と私、久光 菜緒(20)が出会ったのは…。

私が6歳の時連れて行かれた、父の会社の創立パーティー。


私の父は神藤コーポレーションの専務取締役。

「菜緒、この方が社長の息子さんの悟君だよ。」


「初めまして、菜緒ちゃん。」


整った顔で爽やかに笑った悟君を恐いと感じた。


皆には解らないのか!
近いてきた悟君に思わずビクッとした。

父は私が恥ずかしがってると思ったようだ。
「ほら、菜緒、ご挨拶して…。」


私があいつの本性に気づいた事に、あいつも気づいてしまった。


それからは誰もいない所で散々意地悪され、こき使われた。


あいつがアメリカに行くまで下僕だった。


私にとって…
あいつは、悪魔だった…。