「ねぇ、なんでそんな顔するの?」



抱き締められた腕を離し、
首を傾げながら尋ねた。


しかし、皐月は何も答えず
ただ
また、あたしを抱き締めた。




「千菜がお人好しすぎて同情する」



「へ?
い、意味わかんない!」



別にお人好しでもないし!
それに
同情されるような事をした覚えがない!



「…でも」


「ん?」



「そーいうとこも、好き」



あぁ……ずるい。


不意にそんな笑顔を見せられたら…あたし、何も言えなくなる……



皐月は、ずるすぎるよ…