「やだやだっ!
佐野くん、やめて……っ!
そういうのは……そういうのは…、さっちゃんじゃなきゃダメなの!」
目に涙を溜めながら
大声でそう叫ぶとピタリと
佐野くんの体が止まった。
「……そっか」
あたしに聞こえない小さな声でそう呟くと
佐野くんはゆっくりと、あたしから離れた。
「さ…佐野くん?」
「それが答えだよ、宮杉。
やっぱり俺じゃダメなんだろ?」
「……でも、りっちゃん」
「友達とか関係ねぇ。
宮杉の気持ちに嘘がないんだから……その想い、誰にも譲れねぇだろ?」
「……ッ!」
佐野くんの言葉に
あたしは顔を上げた。
そうだ。
りっちゃんがあたしより
皐月を好きだとか、
そんな目に見えないもの
比べたって仕方ない。
どんなに言われても
この気持ちは譲れないのだから