そう言って
あたしの顔を上に向かせると
まじまじと顔色を伺い
「やっぱり」と、
皐月は一言そう呟いた。
やっぱり、皐月にはバレちゃうのか……
「えと、りっちゃんのことだけどね」
「ん? “りっちゃん”が
どうした?」
優しく首を傾げながら
あたしの頭を撫でてくれる、
そんな皐月が好き。
だから、答えてね?
「りっちゃんと、この前なに話してたの?」
「え、この前っていつ?」
「この前はこの前~!」
だって……この前しか
知らないんだもん
それでも知りたい
りっちゃんが好きになったあの日の会話を。
すると、皐月は「あぁ!」と
思い出したように声を上げた。