その姿を見つめながら、反対方向に足を踏み出したとき、足元からクシャッと音がした。


視線を足元に落とすと、白い紙が落ちている。


先程はなかったことから、実が落としたのであろう。


四つ折にされたそれは、皺が寄っている。


拾い上げて、周りを見渡したがすでに実の姿はなく、悪いと思いつつも好奇心には勝てなかった。


心は、そっと紙を広げた。


「えっ・・・なんで?」


内容は心がよく知っているものだった。


なぜなら、これを書いた本人が心だからだ。


心と亜美があの日交わした手紙であり、麗の大事件の発端。


失くしたと思っていたものが、今この手にある。





まさか水亀実が新聞部に密告した?





握り締められた手紙は再びクシャッと音を立てた。


真実を実に確かめるべく、心は方向転換し走り出した。