「これにしましょう」


結局、反対の声は上がらずパフォーマンスクッキングに決まった。


「そうと決まれば早速ここでやってみようよ」


優はキッチンを指差して言った。


「そうだな。でも誰が指導するんだ?」


「料理なら私ができますけど」


誰も経験したことがないため、今回は一人の指導者ではなく四人全員が指導者になることにした。


作った料理を皆さんに試食してもらおうということで、心の料理の腕を計るべくまずチャーハンを作るように指示した。


その間に曲・パフォーマンスなど、事細かなことを四人で相談した。


チャーハンの香ばしい匂いが鼻を掠める頃になると、あらかたのシチュエーションは決まった。


「できたよっ!」


大皿に盛られたチャーハンと、スプーン四つを手に心がキッチンから出てきた。


テーブルに置かれたそれを、それぞれスプーンに乗せ、口へ運んだ。


「なんていうか・・・普通だな」


愁の口からポロリと出た容赦ない感想。


「これぐらいだったら、ファミレスで出てきそうだよね」


優はお世辞という言葉を知らないらしい。


今更だが、決して彼らは性悪なわけではない。


強い男にするにはこれくらいの言葉が必要だ。


そうした配慮のもとだった。


「そんなプロ級の味を求められても・・・」


困り顔の心の肩に、友哉が両手を置いた。


「料理の腕は私がなんとかしましょう」


「じゃぁ、そこは友哉に任せて、とにかくパフォーマンスの練習しよう」