「じゃぁ、両方合わせれば?」


麗が意見を言うと、愁が呆れた目で見た。


「両方ってどうやんだよ」


「料理をパフォーマンスに見せるんだよ」


この間テレビでやっていたのを録画しているというので、B.B+αの五人で麗の住むマンションへ向かった。


電車を乗り継いで辿り着いたマンションは、オートロック式で建築二年の最新型だった。


三十階まであるので、見上げても最上階は見えない。


「俺についてきて」


麗は手馴れた手つきで指を動かしロックを解除した。


ホテルを思わせる床は、絨毯が敷き詰められている。


エレベーターに乗り込むと、麗は三十階のボタンを押した。


「最上階に住んでるんだ・・・」


心は、見晴らしのよさを想像した。


「あっ!ちょっと待て!」


エレベーターを閉めようとする麗を、愁が遮った。


「鏡夜、お前階段使え」


「はぁ!?」


まさかの発言に、心は突拍子な声を上げた。


「それはいいですね」


友哉も顎に手をあて言った。


もう心に拒否権はない。


エレベーターから降ろされた心は仕方なく、階段を上り始めた。