「でもさ、マジで彼方ってすごいよね」


麗が遠くを見る目で言った。


「俺らのトップだぜ!?当たり前だろ」


「たかだか一年の付き合いなのにね」


「案外短いな」


二人は顔を見合わせると、うっすら笑みを浮かべた。





搭上くんって本当にすごい人だ


仲間からの絶対的な信頼


そして、命をも惜しまない友への友情


同じ状況に置かれたとき、果たして自分は身替わりになれるのだろうか?





心が考え込んでいる間に二人の談笑は更にヒートアップしていた。


「よし!!」


麗は長い足で立ち上がると、自分の瞼に右手を当てた。


そして左手の指で、茶色いそれをとるともう片方も同様に外した。


二つともテッシュに丸め込むと、十メートル先にあるくず籠へ狙いを定めた。


野球のピッチャーみたく片足を上げ、左腕を大きく振り切った。


ストレートに放たれたテッシュは、音を立てて中へ入った。


「Excellent」


自ら褒めた麗に、二人は笑った。


そして三人はくず籠を背に、彼方の病室へと戻って行った。