それが俺は辛かった


皆に愛されることなど決してないのに


そして負け犬どもは口を揃えて言った


「その眼、気持ち悪いんだよ!」


僻みであることは分かっていた


だが、幼少時代がどうしても脳内にフラッシュバックし、それが俺にとっての苦痛だった


五年生の秋、アメリカに父が転勤になった


日本語が片言にしか喋れない父なので、家族内では英語が用いられていた


だから、俺は二ヶ国語を喋れる


家族三人で渡米した俺の四年間は実に平穏な日々だった


友達もそれなりにできたし


だが、中学三年生の冬、再び日本へ戻って来た


そのときには髪を黒く染め、茶色のコンタクトを着用した


中学生になったら、人の外見をとやかく言う奴はめっきり減ることは分かっていたが、それでも過去に邪魔され、本当の自分をさらけ出せなかった


俺は密かに、自分に誓いを立てていた





「いつか本当の俺を見てもらおう」





だけど現実は上手くいかなかった


月日が流れ、気づけば今の水蓮学園に入学し、彼方の誘いでB.Bの一員になっていた


そこでも俺は自分を出せなくて、いつの間にか自分に対する誓約は消えつつあった





そんなとき、鏡夜が現れた





自分を変えるため、必死になっている彼女を見て俺は触発された


今一度頑張ろうと思ったが、また上手くいかなくて


紙切れ一枚に揺るがされた