愁・・・





麗は頭が真っ白になった。


自分のせいで愁は落ちた。


くだらない過去に惑わされて、人を傷つけた。


下に向かって雫が流れ落ちた。


それは麗の眼からとめどなく溢れてくる。





「彼方ぁ!!」





突然ぼやけた視界に、見慣れた赤メッシュが入った。





間違えるはずがない





愁だ





じゃぁ、今落ちたのは・・・彼方?





眼を凝らしてみると、確かに彼方らしい。


「愁!!何で?」


首を回した愁と下を見ている麗の眼が合った。


「麗!!後で説明する。下に降りて来い!!」


それだけ言うと愁は一階下のベランダから顔を引っ込ませ、校庭へ向かった。


麗も愁に従い、階段を駆け下りた。