だが麗は既の所で体勢と整え、何とかフェンスの縁に掴まった。


「きゃぁぁあ」


校庭は女子の甲高い声に包まれた。


「マットを持ってくるんだ!!」


教師よりも早く、彼方が指示した。


体格のいい男子が機敏に動いた。


「行くぞ!」


彼方は校舎に向かって走り出した。


その後を優と友哉が追いかける。





どうか間に合いますように





三人は心の中で強く願った。










「くそっ!」


愁は強行手段として扉を壊そうとした。


比較的新しい扉は、もう全く開く気配を見せない。


苛つきを感じている愁のポケットから、着信音が鳴った。


人別に着信音を変えている愁は、それが彼方からだと気づくと、素早く抜き出し耳にあてた。


「もしもし!?」


「愁、お前どこにいるんだ?」


微かなノイズと共に、彼方の声が耳に届く。


「屋上のドアの前だ!スペアキー持って来てくれないか?!」


「今、友哉に取りに行かせている。俺達も直ぐに行く」


「あぁ」


電話を切った時、女子の叫び声が聞こえた。


「きゃぁぁあ」


直後、何かが落ちる音がした。





ドォォォオン