「what?」


いつもの口調で麗は音がする方を振り返った。


誰かが何かを叫んでいる。


しかし、風の音と分厚い扉が壁となって聞こえない。


先生がこんなことをしている自分を叱りに来たのだと、麗は思った。







何か怒鳴ってるし。


ここは出て行くべきなのか?





迷った挙句、彼方に連絡して扉の向こうにいるであろう教師(実は愁)を退けてもらうことにした。


携帯を取り出すと、アドレス帳を開きボタンを押す。


それに気をとられ過ぎた麗は、気づかなかった。


徐々にねじが緩んできていることに。





ビュォォオ





携帯を耳にあてた瞬間、強風が屋上を襲った。


それが引き金となり、ねじが一気に緩んだ。


「うわっ・・・」


麗の体重を支えきれなくなったフェンスは前のめりに傾いた。


反射的に後ろへ体重移動させた麗だが、間に合わず。


バランスを失った麗は空中を舞った。





「いやぁぁああ」





「麗!!」