それから何分がたったのだろうか。


無意識のうちに紙はゴミと化し、山積みになっていた。


破る紙も尽きた頃、麗の心も幾分か冷静になった。


麗は細切れにされた紙を抱えて、フェンスをよじ登った。


僅かな幅に両足で立つと、麗は両手を広げた。


重力に従い、また風に乗った紙はひらひらと下へ降りてゆく。


大量の紙で辺りは一面紙吹雪。


眼下を見下ろすと、体育で出てきた女子達が目に映る。


「あ!あれ、麗君じゃない?」


こっちから見えるということは、あっちからも見えるわけで。


その上、紙吹雪に気づいた生徒達が次々と顔を上げた。


皆が麗に視線を集めた。


「神崎君!!何してるの!!!??」


若い女性体育教師は顔を青くさせ、ヒステリックに叫んだ。


それもそのはず。


他者から見れば、麗は自殺寸前。


慌てふためく教師を見て、麗は微笑を漏らす。





もう少しこの状況を楽しんでみるか━