当人の麗は、記事の束を片手に屋上に来ていた。


誰も入ってこないように扉に鍵をかけて。


中央で胡坐をかいて座ると、カッターを取り出した。


それを合成された写真の上に突き刺した。


集中的に何度も何度も、鋭い刃で傷つけた。





こんなことをして自分の眼が変わるわけじゃない





過去が流れるわけじゃない





心が洗われるわけじゃない





『何も変わらない』





分かっている・・・





「頭」では分かっているのに・・・





「心」が追いつかない





麗の脳裏に過去が蘇った。


つい昨日の出来事のように鮮明に。