一夜明け、着替えようとクローゼットを開けた心は、真新しい制服に手をかけた。


一階へ降りた心は、静かなリビングで朝食をとった。





もう慣れてしまったこの空間。





家族の写真が飾られている仏壇の前で、心は手を合わせた。


三ヶ月前から日課になったこの行為。


「行って来るね」


語りかけても返事はない。


心は立ち上がり、鞄を持って外へ出た。










同時刻。


麗は洗面台の前で鏡を見ていた。


まだコンタクトをしていない自分の眼は青。


憎くて堪らないこの瞳。





ムカツク





昨日まで自分の中に閉じ込めておいた感情が、少しずつ姿を見せ始めた。





この眼さえなければ・・・





昔の感情が自分を支配していることに、麗は気づいた。





何をやっているんだ・・・





何のために俺はこっちへ戻って来たと思っているんだ!!





麗は顔を洗った。


そしてタオルで水気を拭うと、すぐにコンタクトをつけた。