『~~~それではみなさん、今年の夏も部活や勉学に励みましょう。
 三年二組 牧瀬大輝』

 生徒会長が第99回生徒総会という体育館にて全校生徒が必ず参加する集会のシメの挨拶をする。
通称マッキー先輩(牧瀬大輝先輩)は、男なのに美術部に入るという変わり者で、ちょっとした有名人だ。だからこそ全校生徒が一目置いてるのかもしれない。
 マッキー先輩が礼をしてステージからおりた。
こうして僕らの中学二年の夏が始まったのだった。


「うわ、あっちーな・・・」
日差しが強くなると自然と体育館の温度も上がる。
僕ら生徒会メンバーは総会の後片付けをしていた。
「んー、そうだねぇー。でも夏って感じがして私は好きだよ」
僕の独り言にいちいち反応してくれるのは僕の憧れの人であり、密かに想いを寄せている女の子。宇宙。渚月宇宙。
「お前は物好きだな」
「心が広いって言って欲しいよ」
「はいはい。宇宙さんは宇宙のように果てしなく広い心をお持ちでー」
「はっはーん。すごいだろう」
「漢字にすると名前が名詞とかぶる人って、ややこしいことがわかった」
「なにをー!」
ムキになって椅子を片付けている僕の背中をポカポカと力なく叩いてくる。
宇宙はからかいがいがあるから飽きない。
一見アホに見えるが、そうゆうところも宇宙のいいところだ。裏表がなくて誰にでも優しく接する。そうゆうところから人からの信頼を受け易い。
「さ、早く片付けて教室に戻ろうか」
「話そらしたな!・・・まあいいや。片付けよう」
単純で話がわかるところも宇宙のいいところだ。
そんな宇宙に僕は惹かれている。
他にもいろいろたくさんある。
でも、この気持ちに嘘はつけないんだ。
この気持ちは僕の中では確実に存在する。


      【恋】


             という感情が。