「岡田くんの話聞いてあげてもいいですよ。」
「本当に?」
「はい。」
「俺な小学校のときに好きな子がいたんだ。
でもな小4のときに死んじゃったんだ。」
すぐに裕太は私のことを話すって分かった。
「そうなんですが...」
なるべく他人事のように返す。
「名前は山口沙希。そいつな小学生の頃からしっかりしてて
俺はいつも沙希に頼ってばっかだったんだ。
ダメだとは思ってた。男なんだから女に頼られるようになりたいって。
だけど死んじゃった。」
俺はなるべく明るく言う。
「沙希は大人になったら裕太のお嫁さんになっるって言ってくれた。
俺そんときなんか分からないけど俺には不釣り合いだって心の中で思ったんだ。
こんな綺麗で素直な子俺にはもったいない。そう思った。
だから距離を置いた。
俺努力したんだ。沙希にお似合いの男になるために身長伸びたくて...
あと1㌢で沙希を抜かせる。あと5㌢伸びたら沙希が見上げるくらいになれるって。
でも...」
「泣かないでくださいよ。」
ふと沙希を見る。...泣いてる?...全く泣かなかった沙希が...泣いてる...?
「お前も泣いてんじゃん。」
「ち、違います!!!!これは...!!!心の汗です!!!」
「いつの青春ドラマだよ(笑)」
「早く!!続き話してください。」
「死んだんだ。
でもな、学校側は転校と言い張ってた。
何度言ったって転校したとしか言われなかった。
確かに葬式出させてもらってなかったんだよな。俺...
悔しくて、情けなくて。
俺...身長伸びたらぜってぇ沙希と付き合ってそのまま結婚したかった...
沙希と...結婚したかった。
俺16年間生きてきて色んな女と付き合ってきた。
多分沙希を忘れるため。
でも。沙希よりいい女いなかった。
沙希しか愛せなかった。」