「先生!俺やります!!!」

「お!」

「重城拓です!!!」

あいつにやらせていいのか…

沙希…考えろ俺…

ただ名前が一緒なだけだ…

「俺もやります!!!」

やべ。手挙げちゃったよ…

「裕太に譲ります!!!」

「その決意も大事だぞ重城!!!」

「と。いうことで早速なんだが学級委員2人はクラスの冊子を作るから残ってもらう。」

めんどー。

けどなんか嬉しいかも…

こいつ髪長いな…

綺麗な髪だな…

沙希もこんな髪してたっけ…

そんなこと考えてたら

「よろしくね。」

「お。おう。」

これも運命なのかな。

一瞬しか見えなかった。

でもこのときすぐに分かったんだ。

沙希。俺考えてみたら沙希の葬式出てねーよ。

呼ばれなかった?

クラスで沙希と仲良かった奴も呼ばれてないんだぜ。

しかも沙希は転校扱い。

担任になんども言った。
『沙希は死んじゃったんだ。沙希は死んじゃったんだ。』


誰に言っても同じ言葉が返ってくる

『裕太くん。沙希ちゃんは転校したんだ。』

沙希が死んじゃってからおやじが急に姿を消した。

『裕太。強い男になれ。愛する人を手放すな。』

それから小学校を卒業するまでの4年間おやじとの約束を俺は守った。

そうすればおやじはまた帰ってくる。またおふくろとおやじと3人で笑えるまた幸せな家庭に戻ると思ってた。

でもさ。おやじ俺小学校卒業のときに知ったんだ。

おやじは他の女と家を出た=俺とおふくろを捨てた。

愛する人を手放すな…

おやじはおふくろが愛する人じゃなかったのかよ。

噂で聞いた話だと俺と同い年の子どもがいるところへ行ったらしい。