「なんかねぇ、ちょっと100年後の松本に行ってきた。」

あやふやの記憶をあやふやなまま伝えた。

「お前SF映画の見すぎだ。」

ため息をついた蓮に軽くバカにされたところで、愛梨が来た。

「お待たせぇ~。」

愛梨の姿が見えたとたん蓮は少し早く歩き出した。

愛梨は渉が待っていた場所までやってきて言った。

「さぁ、パルコ行くよ。あれ?蓮は?」

蓮がいた事を当たり前のように聞いてきた。

渉は早歩き程度で歩いていく蓮の方向に目をやった。それに愛梨も目をやった。

「待って~、れーん。」

大きな声で愛梨が呼んだにも関わらず蓮は振り向くどころか歩くスピードさえ緩めようとしない。

「聞こえてないのかな?ほら、渉行くよ。」

その声に仕方ないように渉は重い腰を上げ蓮の後を追った。