渉たちが向かったパルコの北出入り口には渉たちとは違う制服の女の子が立っていた。

ロングヘアーでちょっとおっとりとしたような感じの空気を漂わせていた。その女の子は渉たちに気付いたらしく手を振っている。
愛梨はそれを見て、渉たちより少し早く歩き始め、その女の子に近寄っていった。渉たちがそこに着くまでには、何かひとつの会話が終わっていたようだった。

「どなた?」

渉の淡々とした質問が愛梨に炸裂した。制服を見る限りでは北松本にある女子高の生徒だと分かった。

「あたしの彼氏の中学の時の友達だよ。」

愛梨はその女の子に名前を言わすように後に続けた。

「麻生中学出身の西牧 希美(にしまき のぞみ)です。」

やはり天然キャラのようだ。喋ってみるとそれがより一層わかる。

「あぁどうも、渉です。」

渉はちょっと天然キャラが苦手なので軽く挨拶をした。蓮にいたっては未だに携帯のクイズに見入っていた。

「今日はなんでここにいるの?学校は北松本でしょ?」

渉からすれば北松本からパルコまでの距離は面倒くさい距離に値するからこんな質問が飛び出したのだ。

「あたしが誘ったの。男二人じゃなんか嫌だったから。」

愛梨は希美の腕を抱き寄せて言った。

「じゃ俺たちは帰ってもいいか?」

蓮はやっと携帯から目を話して会話に参加してきた。

「ダメ。」

愛梨のわがままが炸裂した。

「だから、男の意見も参考にしたいって言ってるでしょ。」

100%わがままなのに筋が通っているようにする愛梨の技である。

「それはオレにしか言ってないよ。」

渉は少し寂しい感じで言った。

「そうだっけ?まぁいいや。とりあえず服見に行こ。」

愛梨は希美の手を引いて先に店内へ入って行ってしまった。それを追うように仕方なく渉と蓮が続いて入って行った。