渉は蓮に追いつくまでにそう時間はかからなかった。

しかし今は真夏、歩いているだけでも汗ばんできそうな気温の中を小走りでもしてしまえば、疲れてしまうのも当たり前。
渉たちが通っている高校は制服だけあって私服に比べてはるかに風通しは悪い。

「やっと追いついた。」

渉が蓮の隣まで追いついた。額には汗が滲んでいる。
愛梨もすぐ追いつくように思えたが途中で諦めたらしい。

そのまま黙ったまま二人は愛梨が追いつかぬまま信号を二つほど通り過ぎた。
三つ目の信号に差し掛かり赤信号で止まった。
そこで蓮が話しかけてきた。

「そういえば、俺も最近変な夢、見たぞ。」

渉が聞き返し。え?の一言を言ったところで愛梨が二人に後ろから突っ込んできた。

「女の子が追いついてないんだから、少しは待っててくれても良いんじゃないの?」

かなりのご立腹の様子だ。

「ごめん、ごめん。」

簡単に謝るのも渉の癖のひとつである。

「まったく。女の子を走らせるんじゃないよ~、しかもスカート履いてるんだから、走りにくいし。」