俺は、ポケットの中の指輪をイチローに見せた。
「これを渡して、待っててほしいって言うつもりだった・・・でも、詩音の笑顔見てたら言えなかったんだ・・・」
「藤島・・・」
「なあ、イチロー・・・俺、思うんだ・・・待っててほしいって言うのは、詩音にとって本当にいいことなんかなって・・・待つのって辛いよな・・・このまま黙って俺がいなくなったら、その時は辛いだろうけど、ずっと側にいて詩音を守ってくれるやつと新しく始めた方が、詩音にとっては幸せなんじゃないのかなって・・・側にいてやりたくてもいてやれねぇ俺なんかより、詩音の側にずっといてやれる他の誰かの方が詩音のこと幸せに出来るんじゃないかなって・・・」
「・・・・・・」
「だから俺、詩音に黙って行くことにした・・・俺がいなくなった後、詩音のこと、頼むよ・・・イチローなら詩音のこと、きっと幸せに出来ると思うから・・・」