「ごめんな、詩音・・・」

と言いながら、いっくんがドアを開けた。
そこには、下唇を噛んで怒ってるような顔のいっくん。

「どしたの?いっくん?こんな時間に・・・」

恐る恐る聞いたあたしに、いっくんは深呼吸をして言った。

「詩音、よく聞けよ。藤島が、明日・・・・・・アメリカに行く・・・」

目をギュッと閉じた。

あぁ、やっぱり・・・あたしの聞き間違いじゃなかったんだ・・・

大きく息を吐いたあたしは、目を開いていっくんの目を見て口を開いた。

「知ってるよ・・・あたし・・・知ってる・・・」

その瞬間、あたしの目からは涙が流れ落ちた。
1週間我慢していた涙は、止まることを知らない。
いっくんは、そんなあたしを黙って抱きしめてくれた。