その日あたしは演奏に集中出来なくて・・・
合奏中も何度も注意された・・・


「詩音~、今日はどうしたの?何かあった?」

帰り際にそう聞いてくる優梨。

「えっ?ごめん・・・何?」

その声さえちゃんと聞いてないあたし。

「ううん・・・何もないよ・・・じゃあね!詩音!」

「うん、バイバイ!」

いっくんと何か話しながら帰って行く優梨を見て、またボーッとしてるあたしを、後ろから抱きしめた藤島くん。

「きゃっ!?」

「どした?詩音?」

「もう!藤島くん!ビックリしたよ~!」

「ごめんごめん。っつうか、詩音、今日どした?何かおかしいぞ?」

「何も・・・ないよ・・・?」

「だったらいんだけど・・・何かあるなら、俺には言ってくれよな?」

「うん・・・」

あたしは、社会科準備室の前で聞いたことは考えないようにした。


あの話、本当の話なら、きっと藤島くんはちゃんとあたしに話してくれるはずだもん・・・そうだよね?藤島くん・・・