「今は、詩音と付き合ってるから・・・な、詩音?」

「え・・・あ、うん・・・」

藤島くんに抱きしめられてるのが恥ずかしくて、俯いたまま返事をした。
きっとあたし、今顔真っ赤だ。

「今はってことは、これから先のことはわからないよな?紫藤が俺のこと好きになる可能性もあるってことだろ?」

そう言った大野くん・・・

「ないな・・・詩音と俺は、ずっと前からこうなる運命だったし・・・俺の詩音に手ぇ出させねぇ!悪いけど、諦めてくれな!」

そんな藤島くんの言葉が嬉しくて・・・
ちゃんとあたしも言わなきゃって思った・・・

「大野くん、こんなあたしのこと、好きになってくれてありがとう・・・でもあたし、藤島くんじゃなきゃダメなんだ・・・ごめんね・・・」

ちゃんと目を見て言ったあたしに、悲しそうな、それでいて優しい目の大野くん。

「紫藤、ありがとう。でも俺、すぐには諦めらんないから・・・何かあったら、いつでも俺のとこにきて!俺、待ってるから!」

そう言って、大野くんは屋上から出て行った・・・