ーキーンコーンカーンコーンー
チャイムが鳴り響く、新しい教室。
辺りを見渡せば、新しい友達、先生。
慣れない制服に身を包み、みんななんか大人に見える。
そんな中で一人、あたしだけは愛想悪くただ自分の席に座って教室から見える空を眺めていた。

あたしは、桜木可憐。
この前中学校を卒業し、今は進学校で大学に行くため頑張ってる。
仲の良かった友達は、みんな違う道へ。

ーそう、あいつもー

あいつというのは、酒井啓太。
生まれたときからいつも隣にいて、当たり前のように、兄弟のように育てられてきた。
どんなときも、啓太の笑顔に支えられた。
そして、あたし気づいたんた…。



“あたし、啓太のことが好き”



でも気づくがの遅かった。
もっともっと早く、気づくべきだった。
でも、立ち止まってはいられない。
この気持ちを早く伝えなきゃ、あいつは行ってしまう。
そう、啓太は県外に行ってしまう。
でも………なぜか、理由は教えてくれなかった。
あたしはその時、気づいてあげられなかった。
彼が悩み、苦しんでること。
大好きな人が悩んでいること、気づいてあげられないなんて…あたし、失格じゃん。


でも、とりあえず言ってみよう、伝えよう。
離れるって分かってるのに、伝えようって思うぐらい大好きなんだから。
ずっと「啓太の特別」でいたいから。



ザザッ ザザッ
砂利道を歩く、二人の足音。
この音にまぎれて「大好き」という気持ちがこぼれちゃいそうで。


ねぇ、啓太。


あたしはあなたに気持ちを伝えます。