「俺のこと何も知らない癖に出しゃばらないでくれる?」



ニコニコと笑いながらそう言うあたしは、自分でも最低なやつだなんて分かりきっている



「っ…」



瞳を揺らしながら、それでも切にこちらを見てくる彼女


このままだときりがない



槐はいつの間にか笑うのを止めていた



「紫音君のことはなんでも知ってるよ?


性格が王子様で…」


今にも泣きそうな顔をして言う彼女を見て、フッと笑いがこみ上げる


性格が王子様って可笑しいだろ


王子様にだって威張っているのだっているし、酷い奴だっている



「俺は王子様なんかじゃない」




そう言ってあたしは彼女の横を通り過ぎて校門へと歩いた