景子さんはグラスのワインを一気に飲み干し、静かに話し始めた。


「簾治がモデルの仕事を始めたのは、高校1年の時なの。簾治の最初のマネージャーが私なのよ。その頃はまだ今ほどは忙しくなかったし、他にバイトもしててね。
そこで出会ったらしいのよ。今でも忘れられない彼女に。
簾治はさーあんまり人付き合いがうまくないから、誤解されやすいタイプでね、友達とかもあんまりいなかったらしいの。簾治自信も人と関わる事が面倒に思うタイプだしね。
でも彼女は違った。最初から簾治と向き合ってどんどん簾治の中に入っていった。
お互い好きになるのにそう時間はかからなかったんじゃないかなー。
でもね、付き合ってたわけじゃないみたい。お互いにその関係が壊れることが怖かったんじゃないかな。
それから何があったのかはわからないけど、彼女はバイトを辞めちゃって簾治の口から彼女の話が出ることもなくなった。
彼女が簾治の前からいなくなって、あいつは変わってしまった。
誰にも心を開かなくなった。私が何を聞いても教えてはくれなかった。
彼女といったい何があったのかなぁ。」



やっぱり確信のところは誰もわからないんだ。


「そうなんだー。いったい簾と彼女には何があったのかなー。廉に直接聞いたって絶対に教えてくれないよね。。あらし、どうするの?」



「わからない。私に何ができるのか。簾治を救ってあげられるのか。私が動いてもただのお節介って思われてまた怒鳴られそうだし。。」



はぁ~。どうすればいいのよー。



「ねぇ、あらしちゃんは簾治が好きなの??」



「エッ?あっはい…。」



何か恥ずかしいな。。



「その彼女の事もあるけど、簾治を好きになると苦しいことたくさんあるわよきっと。女心なんて全然わかってないし自己中だしね。それでもいいの??あらしちゃんならもっといい人絶対見つかると思うけどなー。何も自分から苦しい恋選ばなくてもさ。」




景子さんの言うとおりかもしれない。。


もっと楽に恋愛できるならそのほうがいいのかもしれない。。




でも、今の私には簾治しか考えられない。。



簾治しか見えない。。