-5月2日-


今日は歓迎遠足で全校生徒全員で、テーマパークに遊びに行く日だ。


だから、現地集合。



でも、私の家からは2時間はかかる。


だから6時ちょうどの電車に乗った。



まだ東の空から朝日が夕日のように赤々と降り注いでいる。



ガランとしている早朝の電車が一番好き。


窓辺の席に座り、朝日に染まりかけている風景をただただ、見つめる。




〈次は~かしい~かしいです。お降りの方は~〉



ぼーっとしているうちに次の駅についた。


ドアが開き、2~3人、新たな乗客が乗ってくる。


その中に、同じ学校の男子がいた。顔は見たことないけど、おそらく後輩だ。



その制服を見ていると、ふと、和緒くんのことを思い出した。


ベイビーフェイスで色が白く、小顔。


でも、その割には背が高く、スタイルがいい。



女子の私でも羨ましくなるほどだ。


『詩夢ちゃ-ん!』

昨日の和緒くんの声が頭の中で何度も反響する。


途端に心臓のドクドクが速くなる。



私はウォークマンの音量を上げた。


ドクドクが聞こえないように。




「今日、逢えるかな…?」