「ところでこの子、どうする?詩夢ちゃんが飼うの?」



突然聞かれて私は我に返る。


「あっ、いやその…。私、もうお家に1匹飼ってるから…。ムリだと思うんだよね…。」



そう返すと和緒くんは「う~ん」と唸りながらしばらく何かを考えている様子だった。



そして「よしっ」と言うと、ブレザーを着て荷物を持ち、子犬を抱きかかえた。



「僕が飼うよ^^なんだか放おっておけないし^^」



子犬は和緒くんの顔を見上げながら、これでもかというように尻尾を振る。


「あっ。名前…。どうしよう…?」


再び和緒くんは「う~ん」と唸りだした。


これはひょっとして和緒くんのクセ?



そしてまた「よしっ」と言うと


「詩夢ちゃんがつけてよ!僕思いつかないや^^」



なんとマイペースな…(笑)


でもそんな笑顔で言われて断れない…。




私は頼まれた身だけど、なにも思いつかない。



しばらくの間、沈黙が流れる。


その間、子犬と和緒くんはおなじように首をかしげて私を見つめている。



私は考えるふりをして、「動揺しちゃダメ!落ち着いて!」と自分に言い聞かせた。




そして、自ら作った沈黙を切って、子犬の名前を告げた。