「ふふっ・・・この名前、まだ嫌いなの・・・??」



 当り前じゃないの。



 あたしは・・・。



 あなたとは違う。



 「キミの名前だって・・・篠岡マリアじゃないはずだよ?」



 彼はどこまで知ってるの?



 瀬華でさえも知らないあたしの本名。



 それを知っているというの?



 ねえ・・・。



 「いつまで黙ってるの?喋れないの?」



 顔、見たくない。



 足音で近づいてくるのがわかる。



 来ないで。



 来ないでっ・・・。



 お願いだから・・・。



 「キミは・・・生まれてすぐに篠岡家に引き取られたわけじゃないくせに」



 しっている。



 こいつは知ってる。



 「嫌な思い出が・・・たくさんあるもんね・・・??」



 そういって彼は自分のネックレスを取り、あたしの首にかける。



 「ローランの名前には・・・」



 不敵な笑みをこぼしながら。