夜の公園は妙に寒々としていて、こんな状況でなかったらあまりいる気にはなれない。
ポツン、と公園の入り口に立っている電灯は辺りの雰囲気を和らげるどころか、逆に公園の寂しさを増すだけ。
明りに照らされた錆びたブランコや鉄棒は、荒涼感すら漂わせていた。
ヒュッ、と音を立てて風が弓華の髪をなびかせる。
裸足でテントウ虫ドームに腰掛けた白い服の彼女は、どこか奇妙で、そして綺麗だった。
このまま眺めていたかったけれどそういうわけにもいかない。目的地はまだ先なのだ。
「中に入ってきょうはもう寝よう。明日は朝一の電車に乗るんだから」
そういって、拾ってきたダンボールをドームに敷きつめ、僕らはたいした会話もしないまま眠りにつくことにした。
なんだか浮浪者の気分……。
そして横になろうとしたとき、
「ねぇ……」
彼女が話しかけてきた。
「なに?」
「えっと……ううん、なんでもない」
「なに、いいなよ」
一度話をフラれると気になるものだ。
彼女は膝を抱え、少しためらい、
「みえなかった?」
と顔を半分スカートにうずめながら、そんなことをいった。
いいたいことがよくわからず、表情だけで「何を?」と聞き返す。
「だから、その……ホームで、ね、スカートおもいっきりめくったとき……」
ポソッ、と、
「パンツ……」
暗闇で弓華には見えなかっただろうけど、そのときの僕の顔は熟れ過ぎのリンゴよりもまだ赤い顔だったと思う。
「みえてないって、そんなの! いいから早く寝なよ、明日早いんだから!」
そんなの、といういいかたもひどい気がしたけれど、僕はパッ、と彼女に背を向けて横になった。
どんなふうに彼女がとったかはわからないけど、すぐに彼女も横になり……そして、
「ありがと……ハンカチ」
コートは貸したままだったけれど、不思議と寒くはなかった。
ポツン、と公園の入り口に立っている電灯は辺りの雰囲気を和らげるどころか、逆に公園の寂しさを増すだけ。
明りに照らされた錆びたブランコや鉄棒は、荒涼感すら漂わせていた。
ヒュッ、と音を立てて風が弓華の髪をなびかせる。
裸足でテントウ虫ドームに腰掛けた白い服の彼女は、どこか奇妙で、そして綺麗だった。
このまま眺めていたかったけれどそういうわけにもいかない。目的地はまだ先なのだ。
「中に入ってきょうはもう寝よう。明日は朝一の電車に乗るんだから」
そういって、拾ってきたダンボールをドームに敷きつめ、僕らはたいした会話もしないまま眠りにつくことにした。
なんだか浮浪者の気分……。
そして横になろうとしたとき、
「ねぇ……」
彼女が話しかけてきた。
「なに?」
「えっと……ううん、なんでもない」
「なに、いいなよ」
一度話をフラれると気になるものだ。
彼女は膝を抱え、少しためらい、
「みえなかった?」
と顔を半分スカートにうずめながら、そんなことをいった。
いいたいことがよくわからず、表情だけで「何を?」と聞き返す。
「だから、その……ホームで、ね、スカートおもいっきりめくったとき……」
ポソッ、と、
「パンツ……」
暗闇で弓華には見えなかっただろうけど、そのときの僕の顔は熟れ過ぎのリンゴよりもまだ赤い顔だったと思う。
「みえてないって、そんなの! いいから早く寝なよ、明日早いんだから!」
そんなの、といういいかたもひどい気がしたけれど、僕はパッ、と彼女に背を向けて横になった。
どんなふうに彼女がとったかはわからないけど、すぐに彼女も横になり……そして、
「ありがと……ハンカチ」
コートは貸したままだったけれど、不思議と寒くはなかった。