美知瑠「…。」
夜の森の中、しかも美知瑠は木の上でうずくまっている。
声や表情は分からないが
兄はなんとなく
妹が泣いていることを悟った。
兄が家路についたことを確かめると 美知瑠は、小さく呟くように呼んだ。
美知瑠「…瑠衣。いるか?」
瑠衣とは美知瑠の従える忍び。まだ中忍になったばかりだが、美知瑠が可愛がっているクノイチの一人だ。
瑠衣はすぐ側で控えていた。
瑠衣「はッ。只今ここに。」
美知瑠「ッたく〜相変わらずお堅いね〜。あんた達は。」
瑠衣「……。」
瑠衣は真面目だ。
美知瑠「……なぁ瑠衣、お前はどう思う。私はあの男を…丸居紫苑を殺せるか?」
瑠衣「…それは私にはなんとも。」
美知瑠「答えて。これは命令よ。」
美知瑠の心中を心得た瑠衣が慎重に話しはじめる。
瑠衣「私(ワタクシ)は…その…美知瑠様のお気持ち次第なのではと存じます。」
美知瑠「へぇ…。どういう?」
だいたい分かってはいるが しっかりと納得するためにも 詳しく話すよう促す。