カランコローン…
隣町にある喫茶店。
今日は初七日の法事が長引いたため、美知瑠は篤志と共に遅い昼食をとっていた。
そこへ、鈴の音と共に開いた店の扉。
やってきたのは池堀と佐々木。
葬儀が終わって落ち着いたら、面会しようと決めていたのだ。
美知瑠「どうぞ〜。こちらです。」
池堀「失礼します。」
挨拶を交わし
入ってきた二人は、美智瑠達と同じテーブルについた。
九條「いや〜久しぶりだね。元気だった?」
これまでのことが何も無かったかのように 笑顔で語りかける篤志。
法事の後には少し不謹慎だろうか…。
佐々木「元気…ではないっすけど、俺等はなんとかやってます。」
九條「そっかそっか。俺は元気だよ。皆と同じように受けた傷はまだ癒えてないんだけど 今は全然痛くない。美知瑠ちゃん達は俺に良くしてくれててね。」
険しい顔の蓮や翔太を尻目に ニコニコ話す篤志。
二人に会えて、随分と機嫌が良いようだ。
池堀「元気そうでなによりだけど…。でも九條くん、ここに住むんだって??びっくりしたよ。」
美知瑠がお茶を煎れに席を立った時、そんな話題になった。
そう…
これはこの数日の間に急に持ち上がった話で、九條は美知瑠たちと共に、兎川村で暮らすことになったのだ。
九條「うん。『きなこ』の皆には迷惑をかけるけど、美知瑠ちゃんと話し合って決めたことなんだ。」
佐々木「まぁ…別に俺達のことは気にしなくて良いよ。皆にも昨日の朝、言って聞かせてある。ただ、九條くんには何のメリットがあるのかな〜って。ちょっとそこが不思議。」
九條「アハハ。それは確かに、理解されない点かも。きっと皆にとって美知瑠ちゃん達っていうのは単に、非道な『殺人鬼』だもんね。殺人鬼と一緒に暮らすなんて頭がおかしいよな、俺。」
佐々木「…いや、そこまでは言わないよ。けど正直、何か特別いいことがないと、『よし、住もう』とはならないじゃん?だからさ。」
蓮の言葉に苦笑いする篤志。