美知瑠「作戦は、だいたい計画通りに進みました。皆してちゃんと罠にはまってくれたので、スモックと共に奇襲をかけて----------。」

と こんなふうに長々と話すのを、兄はず〜っと聞いているのだが メモ一つとらない彼に疑問がわいた美知瑠は、

紫苑を殺したところまで話すと

さりげなく聞いてみた。


美知瑠「ねぇ、兄ちゃんさぁ… メモとか、しないの?」

兄「メモ?あぁ、お前の話の内容くらい丸暗記出来るから。平気平気。」

美知瑠「ほんとに言ってる?」

兄「兄ちゃんを信じろって。お前は知らなかったかもしれねぇが、これは俺の特技の一つでな。聞いたことは、何もしなくても全て頭の中に入るんだ。そうだなぁ…一ヶ月分くらいは余裕かな。」

本当の話だ。

もちろん実力もあるが、彼はこの能力がゆえに上の人達に認められ、筆頭指導員を任されているような面がある。


美知瑠「マジか…。」

兄「マジだょ。」




と、ここまでくると美知瑠の話はネタ切れらしいと判断し 今度は兄が質問をしてきた。


兄「ところで、他に言い忘れていることはないか?さっき瑠衣に聞いたんだが、関係の無い男を一人 連れて帰ってきたとか…?」

痛いところを突かれた。隠せるものならと、話さないでいたことだった。

美知瑠「それは その…。」

兄「事実か否かだけ、先に聞かせてくれ。」

真剣な顔のまま聞いてくる兄に 仕方なく 正直に述べる。

美知瑠「…事実 だょ。」
兄「なぜ連れて来た?」

美知瑠「殴ったことに対するお詫び…とか?」

兄「………。」

明らかに納得していない。

まさか寝顔に惚れたからなんてことは言えな……

兄「惚れたのか?」

…というか、バレバレらしい。

一気に顔を赤くする美知瑠。

兄「図星か…。だが、惚れたからって普通連れて帰ってくるか? 変なミスをしてくれたもんだな。チロルチョコ。」

美知瑠「何なのさ、そのあだ名!?」

兄「だってチロルだから。てか、これは後々まずいぞ?分かってんのか?」

美知瑠「…ッ。なんとなくはね。」

兄「なんとなくかよ…まぁ、いずれわかるだろうけどさ。」

美知瑠「…ごめん。」

珍しく素直だ。