15分後。夜中の1時過ぎ。
全員が時間きっかりに車内へと戻っていた。
美知瑠達の乗る車の車内では 篤志が買ってきたタコ焼きと、瑠衣が買ってきた焼きそばが 良い香りを漂わせている。
グ〜
美知瑠のお腹が鳴る。
九條「あ〜。ルルさんたら、やっぱりお腹空いてるんじゃないですか。」
瑠衣「美知瑠様、やはり何かお召し上がりになった方が良いのでは…。」
そう。皆が食料調達のために買い物をしてきた中、美知瑠はたった一人 何も買わずにいたのだ。
美知瑠「ダイエット中だから。」
なんてのは軽い冗談だが
実は金欠だった。
というか、金欠なことは、二人にもばれてる。
九條「ルルさん、駄目ですよ。食べないと身体に悪い。僕のタコ焼き食べますか?二つありますし。」
美知瑠「いや、いいですよ。気にせずに食べて下さい。ほら 瑠衣も!!」
瑠衣「美知瑠様、いけません。私の焼きそばが良かったらそちらでもいいですから、とにかく何かお食べ下さいませ。でないと、私が困ってしまいます。」
いつの間にやら
家族でドライブをしているような、和やかな空気になっていた。
美知瑠「ハァ…。分かった分かった。じゃあ少しだけ、タコ焼きを頂くことにするよ。九條さん、ほんとに良いんですか?」
九條「はい。もちろん。」
二つのうち一つを、箱ごと渡す篤志。
だが 美知瑠はもともと少食だ。 夜中にタコ焼き6個は食べれない。
美知瑠「すいません…。私、その半分でいいです。体質的に、あんまり食べれないので。」
九條「そうですか?じゃあ…はい。どうぞ。」
言いながら
彼は美知瑠の分の箱から器用に半分量のタコ焼きを取り出し、自分のタコ焼きの上に転がした。
美知瑠「ありがとうございます。」
パクリッ
モグモグ…
美知瑠「あっふいけろ(熱いけど)、おいひぃ〜(美味しい)。」
口から湯気を吐きながら
美味しそうに食べる美知瑠を見て 満足気に微笑んだ九條と瑠衣。
三人とも、幸せそうに夜食を済ませた。