メンバー達を捕らえている忍者は依然として動かない。
今はまだ、身動き出来ないようにしておけ とだけ命じられているのだ。
佐々木が喋ったことで、他のメンバー達も口々に喋りはじめた…。
「ちょ…待って下さいよ。みんなが起きたら丸居さん、殺されるんですか?」
「ルルちゃん…なんで?最初から騙してたの?」
「ルルさんは僕らのこと、好きじゃなかったんですか?みんな信用してたのに…。」
皆好き勝手に喋る。
…うるさい。
責められるのは仕方ないと、最初は黙って聞いていた美知瑠だったが
だんだん苛々してきた。
「この裏切り者!!」
…プッツン。
誰が言ったかは知らないが、この一言が美知瑠をブチ切れさせてしまった。
美知瑠「…何をクドクドと。てめぇらに何が分かんだよ!! ざけんな!何も知らねぇくせに抜けぬけと!!」
スイッチが入ってしまった。大声で怒鳴る美知瑠。
理不尽なのは彼女自身、よ〜く心得ている。
だがどうしても理性が効かなかった。
美知瑠「てめぇら… こっちだってな、大事なもん守るために必死なんだよ!! 知らねぇくせにほざくな!!」
ついつい口をついて出てきてしまう暴言。
丸居「ルルちゃん…。」
不安げに見つめる紫苑を無視し
今度は部下達に命令を下す。
美知瑠「方針変更。首筋に一本。」
…これは 首に刀で傷をつけろという意味だ。全員に指示が渡った。
部下達が各々、劇団員等に切っ先を向け、上から下へ…なぞるように刃を滑らせる。
通常よりもよく切れるように改造されたナイフは皮膚を切り裂き 綺麗な赤い線を描く。
「クッ…!!」
美知瑠「痛い?綺麗な血、素敵ですよ。」
うっすらと笑みを浮かべる美知瑠。
丸居「ルルちゃん…?」
美知瑠「ごめんね、丸居さん。」
そういってもう一発指示を出す。
美知瑠「鞭、五本。」
劇団員達を床へ倒し、鞭を取り出す部下達。背中へ五発、鞭を入れる。
バシンッ
「あ"ぁッ!!」
バシンッ
「うあ"ッ!!」
鞭を打つ度に響く呻き声。
追い打ちをかけるように出された次の命令。
美知瑠「次、ボコボコ。」
忠実な部下達は
迷うことなく
思い思いに暴行を加える。
春真っ盛りの劇場の中で
殴られる音と呻き声だけが、何時間も、むなしく響いていた……。