…不気味だ。

「…ッなんなんだよコレ。」

一人呟く丸居。

「ケホッ…みんなッ…どこだ…ケホッ…どこにいんだよ!!?」


返事はない。

何が起きているのか分からない悔しさ。

涙が頬を伝い、頭が朦朧とする…。




…。


倒れかけた丸居の耳に
一瞬だけ聞こえた客席のドアが開く音。


ガラガラ…。


その音を聞いた後、彼は気を失った。









気がつくと、ステージの真ん中に立っていた。




目の前には、見知らぬ男に羽交い締めにされているメンバーの佐々木蓮。まだ気を失ったままらしい。


何だ?

何があった?


今はもう外に流れ害は無いが、先程のスモックには睡眠薬が含まれていた。

丸居は寝ぼけた頭を懸命に働かせた。

何が起きたのか

何故目の前で蓮が羽交い締めにされているのか

周りの状態はどうなのか


だんだんと頭が冴えてきた。

見渡すとステージ上には仲間が勢揃いしていた。

皆、丸居を取り囲むように円型に それも全員が一人ずつ、見ず知らずの者達に拘束され 刃物を突き付けられていた。


異様な光景だ。


皆眠らされ、気がついている者はまだほとんどいないが いずれ皆目を覚ますのだろう…。




……ッ待てよ?

そこで丸居はあることに気づいた。

自分の仲間達を拘束している見ず知らずの者たち

よく見れば

それは『見ず知らずの者達』ではなく

先程まで客席にいた人々

…そう。『お客達』だったのだ。