藤ヶ谷社長の長男・維月君だった。


彼は確か大学生で・・・



「ちょっと待って…俺…あんたに話があるんだ!」


「えっ?」


維月君は俺の腕を強引に掴んだ。

そして、俺も維月君の居る集団に引っ張り込まれた。



《劇団・夢の中》維月君はその劇団のメンバーだった。

雑居ビルの地下にある小さな劇場が劇団の拠点。


俺はシートに座って、彼らの劇の練習を見学。


休憩の合間に俺の元に来る維月君。

話があると言われて来たのに、放置され、俺はいい加減帰ろうと思っていたトコ。

「なぁ?佐久間さん…髪の毛一本くれる?」


「えっ!?」


維月君はいきなり、俺の髪を引き抜いた。