「水一杯…頂戴」


哲子さんは何も言わず、カウンターの中に入って、冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを取り出し、グラスに注いだ。



「ありがとうー」


俺はグラスの水を一気に飲み干す。


「他の女性を抱いたコト…奥様に悪いと思ってるからそれでいいじゃない」


酔った勢いで俺は国貞社長のコトを哲子さんに喋っていたようだ。



「大阪出張って…奥様に言ってあるなら、大阪のお土産買って帰りなさいよー」


「・・・」



そこまで、完璧に偽装工作する気はないんだけど。