あたたかい日差しと柔らかい風。
薄ピンクの桜が舞う、
そんな入学式日和。

私は初めての高校の門をくぐる。

軽い足取りで靴箱へ向かうと、
「桜っ!! おはよう!」
元気のいい声で私に大きく手を振る。
「桃!おはよ~」
少し高めの私の声。
よくみんなに ふにゃ ってしてるって言われるけど
別に嫌いじゃない。
「桜、梅と一緒に来なかったの?」
桃は私に聞いてきた。
「えっ? 私はてっきり桃と来てるかと・・・」
二人でどうしようと迷っていたとき
後ろから肩をポンと叩かれた。
「おはようっ 桃 桜!」
「「梅っ」」
私たちは声をそろえて
梅に抱きよった。

私たち三人は
卯月 梅(うづき うめ)
栗山 桃(くりやま もも)
春坂 桜(はるさか さくら)
と言う名前から、仲良くなった。
中学の時同じクラスになって、
すごく意気投合した。
やっぱり名前のおかげかな?

「二人とも~しっかりしてよね~w」
と梅は言う。 やっぱり私たちのお姉さんみたいだ。
「ごめ~ん 忘れてたわけじゃないんだよ?」
桃はグループの明るいキャラ。
いっつも場を盛り上げてくれるんだ。
私は・・・
「きゃあっ・・・」
「「桜!?」」
そう、みんなからよく
天然 って言われる。
「桜~ 何で何もないところでこけるの!」
梅はそういいながら私を立たせてくれた。
「いたた、ありがとー。」
そういいながら立ち上がると。
ドンッ
急にぶつかったもんだから
またこけちゃって。
「いったぁ~・・・ 何・・?」
フイっと顔をあげると
そこにはとーっても背の高い男の人が立ってた。
しかもすっごく美形で見とれちゃう。
「あ゙!?」
私が見とれちゃってたらその人は
すごい目つきで私を睨んだ。
「ご・・ごめんなさい・・・」
目がうるんできて 泣きそうになる。
その人は私を無視してスタスタと歩いて行ってしまった。
その途端私はポロポロと涙がこぼれてきた。
「うぇ~・・・怖かったよぉ・・・」
梅にしがみついて子供みたいに泣いた。
「よしよしww とりあえず教室、行こうか?」
梅が私を支えながらクラス表の所まで見に行った。
しかし・・・
「あーあー・・・桜だけ4組だよ・・・」
「あたしと桃は3組。」
そう、私だけ離れちゃったの。
「いやー・・・もうやだぁ・・・」
また泣きそうになってる私を見て
桃と梅が
「絶対休み時間は教室行くから」
と約束してくれた。

教室へ入って指定の席に着く。
先生が入ってきて、出席をとる。
「中山~ 橋本~ 春坂~」
「はい。」
と私は返事をする。
「えっと・・・早瀬~」
返事はない。
「早瀬~、いないのか?」
と先生が言い終らないうちに扉が激しく開いた。
「すいません、早瀬です」
そういって入ってきたのは朝出会った
あの狼みたいな男の人で、
しかも運悪く隣の席。
高校生活初日。
最悪でした。