施設長もしぶしぶだったけどOKをしてくれた。
その日のうちにアパートも見に行った。

今思えばなぜここまでしてくれるのかとても不思議だった。

私が施設を出るときは施設のみんなが送別会を開いてくれた。

正直驚いた。
私がここに来たときにいた人たちは
みんな出ていって、こんなに長く暮らしているのは私ぐらい。

いつからか必要以上に話すことはなくなっていったから。

またここでも嫌われてるんだろうな。
そう思っていたから。

涙がこぼれるのを我慢するのが精一杯だった。


「元気でね」
「また遊びに来てね」
「たまには連絡しろよ」

みんなが暖かいことばをくれた。

「ありがとう」

それしか言えなかった。

「風邪引くなよ」

そんな施設長の言葉で堪えていたものが溢れ出した。