いきなりどうしたと聞かれても明確な答えを説明することのできない俺は、その場でじっと黙り込んだ。


高木さんのわざとらしいくらいの大きなため息が聞こえてくる。


「なにか不満でもあるのか?あるなら言ってみろ」


俺はちらりと呆れ顔の高木さんを見たけど、やっぱり今更あらためて言うことはない。


「圭介、お前がそんな態度なら仕方ない。このままなにか問題でも起こされたらたまらんから、よそに行ってもらうことにするぞ。知り合いの施設を紹介してやるからそこに行きなさい」


「えっ、園長!それは厳しくはないですか?」


高木さんのその話に一番に反応したのは俺じゃなく、俺の後ろで一緒に話を聞いていた桜井さんだった。


「圭介くんは葵くんのことがあってから少し自暴自棄になってしまっただけだと思います。もう少しうちで様子を見てあげられませんか?」


少し慌てたように早口で話す桜井さんに高木さんがぐっと顔をしかめる。